今年の6月11日山陰のある観光地を妻と旅したときの出来ごとです。

一日の観光予定を終えて予約したホテルに到着したのは6時ごろでした。

小さなホテルですが月曜日ということもあって宿泊客は数組といった感じでしょうか、駐車場もがら空きで夕食時には4組ぐらいが広いレストランで食事をしていたようです。

私たちの部屋は最上階にある和室で眺望もよく目の前に海が広がり潮騒が聞こえてきます。

長旅の疲れ等もあって二人とも12時前後には眠りにはずですが、隣の部屋からマージャンパイをかき混ぜる音に目が覚めた私はしばらく闇の中で隣室の気配を探っていました。

時計を見ると一時を回っており、隣の妻は疲れ果てたのかぐっすり眠っているようです。

時折笑い声や喚声も壁を通して伝わってきます。

私は注意を与えるつもりで壁を踵で数度叩き様子をみますが通じないようなので、隣室に赴きふすま越しに「すいませ?ん、隣の者だがもう少し静かにしてもらえますか」と云うと、ふすまが少し開き腰の低そうな人懐っこい一人の男が顔を出し「お隣ってこっちの?」と壁を指差しました。

私が黙ってうなずくとニヤリとして私を一瞥してから「やっぱり聞こえますか、すいません気が付かなくて・・・」とうなづくように頭を下げます。

部屋に戻り小用を足そうとトイレのノブに手をやると先ほどの部屋から大きな笑い声が沸きあがったのが聞こえてきました。

布団に横になってしばらくしてもマージャンを止める気配もなく笑い声や騒音が止む気配がありません。

あんな若造に舐められて堪るかと頭に血が上った私は再度隣室をたずねドアーを開けると「いいかげんにしろ!何時だと思っているんだ!」と叫びました。

一瞬部屋の空気が凍りつくと同時にパイが倒れるような音と共に数人が勢いよく立ち上がる気配がします。

私は本能的にドアを閉め自室に戻ろうとましたが、勢いよく裸足で飛び出してきたさっきの男に自室のドアを開いたところで捕まってしまいます。

もみ合っている内に他の3人も駆けつけ私は4人の男と共に部屋になだれ込むようにして入口に倒れこみました。

その若い男は胸倉を両手で絞り上げるように掴み私の上半身を起こします。

「おい、もう一度言ってみろ!誰に物言ってるの分かっているのか!」

「騒がしいのはお互い様だろうが・・・散々女といちゃつきやがって!」

「聞こえないと思っているのか・・・こっちに筒抜けなんだよ」と低いドスの利いた声で言い放つと、最後方に立っていた50絡みの男がドアの内鍵をしめますが、カシャという乾いた音に何か相手のただならぬ思いを感じ背筋がゾクとします。

「俺たちがアンタたちのお楽しみに水を差したかよ。いい加減にしろ!、とか・・・」

「おい、どうなんだ!いってみろ!」と私を激しく揺らして凄みます。

「ない」といいながら、隣の笑い声が聞こえたのだからこっちの夫婦の営みも隣に漏れたかも知れないと思ったりした。

そういえばあの時隣はひっそりとしてマージャンをしている気配もなかったし壁に耳を当て聴いていた可能性もあると。

「そうだろうが・・・自分たちのお楽しみが終わったら、隣のお楽しみは関係ないか。全く身勝手な野郎だ」と酒臭い息を吹きかけます。

私は場の雰囲気を変えようと「聞こえたんですか・・・それはどうもすみません」と、素直に謝ります。

するともう一人の片肌を脱いだ男が屈みこむようにして若い男の肩口から私を睨むと「俺たちは寝てたんだよ。あんたたちに起こされたんだ。」

「『いいかげんにしろ!何時だと思っているんだ!』っていうセリフはこっちの台詞よ」

「お陰で皆目がさえちゃって、それでマージャンを始めたのよ。」

その言葉を引き取るように三人目の男がぱっともろ肌脱ぎ「俺たちの家業はよ、行きずりのトーシローになめられたんじゃぁ立ち行かねぇんだ」

「どう落としマエを付けるんだ。色男さんよ」と藍染めのシャツを着たような刺青を見せ付けけます。

私は咄嗟に金を要求されているんだと思いました。

「落としマエって?・・・・」

「落とし前だよ。親分の顔を立てて貰えればいいんだ。指を詰めろとかじゃねーんだ」

「どのぐらいぐらいですか?」

「どのくらいならいいんだ」

「二万円ぐらいならなんとか・・・」

「とぼけるんじゃぁねーよ」と刺青男がいうと「テツ」と、私をつかんでいる男に声を掛けます。

テツは弾かれたように立ち上り鎌倉戸を開け部屋に入ると代わって刺青男が私の胸倉を掴みます。

「いいか、親分の顔が立つだけもらうからな」

私が黙っていると「いやぁー、いや、やめて」と、奥の部屋から妻の抗う声が洩れてきます。

私は思わず大声で「財布はこっちの部屋の金庫の中だ」と叫びました。

「この野郎まだとぼけやがって・・・親分」と、眼で合図すると親分と呼ばれた男は部屋に入ると鎌倉戸を閉めます。

彼らの意図を知った私は男の手を振り払おうします。

「往生際の悪い野郎だ。とぼけやがって二万円じゃーねぇー。二時間だ。分かった!」というと私の両頬を張り二人掛でバスルームに引っ張り込みます。

「あんたの奥さんか」と聞くので頷いた。

「幾つだ」

「36」

「カブか・・・し頃、させ頃だな・・・今日は相手が悪かったと、あきらめな」

叩かれた両頬の火照りと耳にした妻の哀願する声が相俟って不思議なことに私のペニスははち切れそうだった。

そんな私の異変に気が付いた刺青男は俺もだよと笑った。

「あの声を聴いちゃぁ?、男ならどうにもならんぞ?」と隣の男の股間を指すのだった。

「どうだ、奥さんの奮戦ぶりを見守ってやらんか?」

「・・・」

「うちの親分は顔はあの通り不細工だが、女を扱うのは上手いんだ」

「後で奥さんにはナイフで脅されていたといえばいい」

私の返事も聞かずにバスルームの戸を開くと外に出た。

その後に私ともう一人の男が続いた。

男は鉄扉を背にして私の逃亡を気にしているようだが、刺青男はそんなことを気に掛ける風もなく、部屋の入口ある照明のスイッチをすべてOFFにした。

そして杉板で出来た鎌倉戸をそーと60センチ位開けると、さっきと同じような妻の哀願する声が畳を這うように聞こえてきます。

私たちは四つん這いになりながらひとりずつ部屋に入りもう一人の男が鎌倉戸を閉めた。

居間は真っ暗だが、寝間の襖が30センチばかり開いているので枕元のランプシェードの明かりが居間の壁から天井に幾何学的な縁取りで映え、眼が慣れてくると結構部屋の様子が見て取れた。

「いや、だめ、やめて」となきそうな声とシューシュという衣擦れの音がするが男の声はしない。

私は妻に気が付かれないように隙間から遠く離れた壁際に立ち部屋の様子を探ると、親分の姿が見えた。

自分の両膝を立てて彼女の両脚を左右に開き右手の親指でもっとも敏感な箇所を探っているようである。

移動してのぞく角度を変えて見ると仰臥した妻の両手を若い男が万歳させるような格好で両手首を押さえていた。

恐らくこんな格好で5分位前に親分に下穿きを一気に脱がされてしまったのだろうか、トルコブルーのパンティが我々のすぐ眼の先にあった。

そして藤色の花をあしらった浴衣の腰紐はまだ解かれていないため、胸前は全然乱れた様子がないのに下半身が途中まで皮を剥かれた二本のバナナのようにむき出しになっている様はエロスそのものであった。

男は視覚、女は聴覚で往くとよくいわれるが、一言も声に出さない親分の落ち着いた態度に場数を踏んだ風格みたいなものを感じた。

恐らく妻はことの顛末が分からず動転しているのだろう。

二人の内どちらかがどうしてこうなったかを説明してやって欲しいものだとつまらぬことを考えていたから不思議です。

もうそこに居る私は彼女の姿態を鑑賞する一人にすぎなかった。

親分の執拗な指の愛撫を避けようと「いや、だめ、やめて」と必死に身体を捻りますが両手首をがっちり押さえられ両脚に身体を割り込まれた状態では左右はもちろん下へも逃げ込めません。

必然的に上にせりあがるようになるのですが、それは両手首を押さえている若い男の股間に頭を突っ込むことになります。

男の怒張した一物を額に感じていやいやをする妻。

両膝で妻のコメカミを抑える若い男。

そんな二人を見た親分は両脇の下で妻のフクラハギを抱え込むようにして引っ張り元の位置に戻し、右手中指の腹を割れ目にあてがいすーと一掃きして上に抜くと、キラキラした中指の腹を若い男に見せます。

男がにっこり頷くのを見て親分は両ひざ立ちで上半身を起こすと越中フンドシをはずした。

そして浴衣の帯を解き両肩から滑らすように脱ぐと現れた体一杯に描かれた刺青と亀頭のカリが極端に太い一物が硬直したまま上下に二度三度揺れる様子にびっくりしたのだろう、「いや、だめ、」とまた上に逃げようとしますが、今度は前屈みになった親分に両肩を掴まれ一気に引き戻されます。

眼一杯引き付けられた脚が左右に大きく開くとその機を逃さず妻に覆いかぶさり体重を預け動きをコントロールして挿入を試みます。

男のさぐるそうな尻の動きが卑猥な感じ・・・「いや、だめ、・・・痛い」と足をばたつかせて泣いて抵抗しますが、腰から上は全く自由が利かないようです。

しばらくして「いやよ?・・・」と引きずるような声がフェードアウトするとしばらく動きが止まり静寂が訪れます。

両肘を突いて顔を上げると手首を押さえている男と目を合わし小さく頷きゆっくり体を起し、それからおもむろに右手で二人が繋がっている部分に手をやります。

「奥さん、泣き虫だな。ほれ、こんなにうれし涙をこぼして・・・」

「悪う思わんといて。ほんの出来心。奥さんにも原因があると思うわ」

「あとで旦那に訊いといて」

妻は何のことやらさっぱり分からずシャクリアゲるように泣き続けています。

「ほら、そんな泣き方したらだめ。キュ、キュと締め付けられて我慢出来ん」

「奥さん子供おらんだろう・・・」というと再び覆いかぶさり妻の耳元で何かを囁いているようです。

腰の動きはほとんど無いように見えますが亀頭だけを上下に微妙に動かしているのかも知れません。

親分は盛んに何かを耳元で囁き続けていますが、なんのことか我々にはさっぱり分かりません。

宥め賺しているのか、謝っているのか、脅しているのか。

15分も経過するとシャクリアゲも間遠になり次第に収まってきたようです。

先ほどまでバタバタさせていた脚がだらりと力なく伸びきっている様子から妻が現実を受け入れ始めたように感じられた。

しばらくして親分はゆっくり身体を起こすと両手を妻の体側に着いてから「ほら・・・」と腰をひとひねりします。

そしてちょっと間があってから「やったー」と喜びの声を上げました。

顔をあげ妻の手首を押さえている若者に目顔で合図すると、男はその場を離れ我々の部屋にやってきます。

不覚にも暴発したらしくパンツを汚してバスルームに駆け込みタオルを巻いて出てくると「スッゲー上玉、ヤリテー」

「テツ、お前には20年早いんだよ」と目は妻にむけたまま刺青男「テツ、親分は何をごちゃごちゃこませてるんだ」ともう一人の男「いろいろですよ」

「キスをさせてっとか、なんとか・・・」

「合図をするから握り返せって・・・」

「そうするとさっきの『やったー』は、『オーケーよ』と親分のチンポをキューと締め付けてきたんだな」

「飯塚の叔父貴がさ、親分は昔横浜でスケコマシシマシのジローと呼ばれていたんだと」と三人は目を二人に釘付けにしながらこんな話をしています。

歓喜の声を上げた親分はそのまま身体を沈めると腰を小刻みに遣いながらキスをします。

ランプシェードの明かりを遮っていたテツがいなくなり妻の表情がはっきり見えるようになりました。

自由になった両手を引き寄せるとそっと彼の腰に廻し自分に心持のいいリズムを伝えているようです。

これは私との経験からいえることなんですが・・・それにしても強引に奪われた男にキスをあたえながらとは。

私は親分はスケコマシだという話をさもありなんと思った。

力ずくで下の口を奪っておきながら、上の口だけは相手の了解をとってからというわけか。

さっきの腰のひとひねりはどういう意味だったんだろうか。

「キスをしてもいい?」or「キスをしてほしい?」

いずれにしても妻はどういう意味かはわかっていたはずだ。

二人の動きを見ていると「キスをしてほしい?」

の意味だったように思えた。

20分もの時間を掛け根気良く囁き続けたのだろう。

耳元に言葉で、女の襞にペニスで。

現状を見なさいと。

奇禍を転じて福にせよと。

人生様々、人もそれぞれと。

事実は小説より奇なりと・・・長いキスから開放すると、感触から何かを感じ取ったのでしょう。

動きを一切止めて体重の負担をかけないような姿勢で顔を見下ろしてる親分。

ゆっくり眼を開く妻。

それを見て自分の尻を小気味よくポンと前に突き出す親分。

あごを突き出しのけぞるように身を反らし下半身をより密着させようとする妻。

二人のボディー・トーキングに親分のしたたかさを感じた。

数度にわたり強弱・緩急・浅深をつけたブローを繰り出すとぴたりと動きを止めて「どう?・・・気持ち良い?」

「・・・」

首を傾げハニカムような笑みでゆくり両手を男の首に回し、無言で応える妻の表情は満足しているようで、次を求めているような感じさえした。

そんなやりとりが続いた後、身体を起こし一物を抜くと、妻を起こし横抱きにして唇を奪いながら腰紐を抜き取るりそれを我々の方に投げて寄越すのだった。

から白桃のような乳房がのぞきます。

顔を上に向けて半身を起こして横抱きにされたままディープキスを受け入れている妻の喉もとが何かを飲み込むように動いた。

そして乳房を揉んでいる親分の右手の甲に自分の左手を添えると、自ら手を動かし強弱やリズムを教えているようである。

そして浴衣を脱がせようとすると身体をくねらせ協力する妻。

親分が紫陽花が描かれた浴衣をこちらに投げてると、それは襖に当たりその一部が我々の部屋の中に入った。

妻の甘酸っぱい女の匂いが部屋に漂いはじめます。

横抱きにされて親分の左肩に頭を預けて乳房をもみしだかれうっとりしている妻の身体に眼を遣りながら、テツは浴衣を引き寄せると鼻に当て大きく深呼吸すると「堪らん」と呟きます。

そして尻の部分に濡れた箇所を見つけ、隣の刺青男の肩を叩き得意そうにそれを示し鼻先にもっていった。

「別嬪だなぁ?、あっちの方も感度が抜群だし・・・機転も利きそうだし」

「おれはもうビンビンよ、ほら・・・」と刺青男が囁くと私の手を股間に導いた。

「声が堪らんなー、あの声がさ・・・旦那の仕込だろう。このエロ事師野郎」

「俺は一本抜いたが、もうこの通り」と、もう一人の男。

アヘアヘになっている妻に下から揉む上げるようにして乳房を掴むと親指と人さし指で乳首を転がしながら顔を覗き込んだ。

「ほれ、どうや・・・」

「だめよう?、あ、あ・・・う?」といいながらまた左手を添えて指先の力加減を指示しているようです。

「これでいいんだな。痛くはないな」との問いかけに頷きながら「だめよう?、あ、あ・・・う?ほんとよ?」といいながら仰け反る妻妻をそのまま寝かせると前の位置と90度違って二枚の布団を跨ぐような格好で横たわっています。

正面に彼女の足裏が1メーター先に見えます。

我々は姿勢を低くし部屋の壁際まで後退しました。

左側に横臥した親分が妻を引き寄せると彼女の顔は彼の胸元に蜜着したようです。

彼女の甲を右手で押さえながら「おい、テツ・・・」と小さくいうと、ちょっと間を取ってテツが答えます。

そして、点灯されていないもうひとつランプシェードを指差して点灯しておく場所を指示し、設置が終わると水差しを近くにもって来させます。

「こんな色の白い奥さん拝ませてもらんているんだ。ステレオ光線が当たり前だろう」

「全然雰囲気が違うだろうに・・・」と一人悦に入る親分。

そしてテツが消えると「さあ?奥さん、水入りの仕切り直しだ」というと妻の右肩を押して仰臥させてから水差しの水をラッパ飲みして口に含むとゆっくり少しずつ口移しで飲まします。

最初は首を振って拒否しましたが、両手で顔を押さえなれると素直に受け入れました。

本当に一滴づつ飲ましているのか妻の喉元が小刻みにふるえていました。

口の利けない二人でも親分は右手で妻にいろいろ指示を出します。

割れ目を指の腹でなぞらえながら左足を開かせたり右足を立たせたりと・・・二本の指で器用に小陰唇を開き敏感な部分を指先で撫ぜると妻の体がピクリと震えるのが分かります。

親分はまだ口に十分水があるのでしょう。

右手で我々を手招きします。

そーと襖から顔を出すとライティング効果抜群で女の仕組みがはっきり見て取れます。

それと湧き出てくる液体も・・・こぶんにサービスしているのだろうか。

自分のスケコマシ振りを見せつけているのだろうか。

親分の指は濡れてサーモンピンクの割れ目からあふれ物はみるみるシーツを濡らす。

「それにしてもずいぶんなげーなー」と心配する刺青男が囁くともう一人の男が顎を突き出し「あれだけ出れば水分の補給も必要ってもんだ」と笑います。

「いづれにしても水はもうないはずだから、唾液を補給してるんだぜ、アレ」

「親分って変態なんですか」

「バカいうな!潤滑油が枯れたら奥さん故障しちゃうぞ。ツバも水も同じだ」

「まだ前戯の段階だ。試運転、親分のセックスってあんなもんじゃないぞ・・・」

親分は唇を離すと体を少し起こしぐったりして眼を閉じている妻を確認してから、我々の方を見てニヤリとした。

そしてもう自分の中で手順が出来上がっているのか次の行動に移った。

この辺の描写は文学的表現を借りれば次のようになるであろう。

男の指がするりと入ってきた。妻は小さな悲鳴をあげる。

もちろん嫌悪ではない、あまりにも心地よかったのだろう。

ああ、と喘いで生唾を呑み込む。

その何度か繰り返される小さな衝撃が体中を支配する。

そのたびにゆるやかな液が落ちていく。

妻の襞と、男の指との間は、粘り気のあるたっぷりとした液がさえぎっている。

それなのに彼女の襞は、この上なく敏感に親分の指の動きをとらえ震え続けているようだ。

震えは、おこりとなり、妻の全身をつつむ。

妻は短い悲鳴を何度か上げ、ほんの少し気を失う。

それを合図に親分は体を重ねていく。

指によって起こされた小さな痙攣の波が、ざわざわ揺れる。

その中をもっと強大で誇らし気なものがゆっくり行進してくる。

妻は自分が再び、たっぷり液体をつくり出し、流すのを感じる。

その様は誰がみても歓迎している何よりの証である。

「気持ちがいい?」と、男がたずね、「とても・・・」と、妻はと答えた。

そして男の問いに妻は大きく足を広げると腰を激しく揺さぶり、歓喜の深さを体で示す。

自分が作り出す液体が醸し出すリズミカルな音が妻には聞こえているのだろうか。

「いやらしい音だね」と、親分の声が響くが妻には聞こえたのかどうか。

「こりゃまるで竹筒で作った水鉄砲だな・・・水鉄砲は前に飛ぶんだが」

「奥さん、レスポンス抜群。握り返してくるよ。ほら、・・・ほら、分かる?」

「恥ずかしいわー」

「いつもこうなるの?」と、テンポを加速させるとハァー、ハァー喘ぎながら眉間に歓喜の皺をつくり首を振る妻。

「今日は特別なの?」と、テンポを落とし問いかけると素直に頷き、特別という言葉に反応したのだろうか両足を男の腰に巻きつけるとのけ反った。

「奥さん、親分の手の内だな。旦那」と刺青男が耳元で囁くが、脚を男の腰に絡ませ受け入れている妻の姿態は初めて見るものだった。

社交ダンスは男のリードで女が踊る。

ダンス教室に通っていた妻にとって、パートナーの手の内に入って踊るのは慣れているというか鉄則なのだろう。

セックスでも男が代われば男の五感(語感)に応じてフィギュアーを変えていく妻の柔軟性に女の業の深さみたいなものを感じた。

「俺は贅沢は言わないが、あの白い二の腕にさわりてー」と、テツが言う。

「おめぇー、さんざんさわりまくったんだろうに・・・」

「親分のヘルプ・・・あくまで公務上ですよ、兄貴」

「手首を押さえているとね、女の気持ちの変化が伝わってくるんですよ」

「目の前にある女の二の腕の筋肉がだんだん弛緩してくるのが分かるんだ」

あの部分は女の体では三番目に柔らかい部分なんだ、と力なく投げ出された妻の二の腕を指しながらテツは言った。

背後でそんな我々の気配を感じたのだろうか、親分はちょっとポーズを取ると妻の両足を肩にに乗せると覆いかぶさるようにその足に負荷をかけた。

「どう、苦しい?・・・」

「・・・」

妻が目顔で否定すると、二度三度一杯一杯ゆっくりと出し入れをしてから「当たる?・・・痛くないね」と妻に確認すると、眼一杯の強烈なブローを繰り出した。

パン、パンという音が小気味よく響きます。

「気持ちいい?」と訊ねらると自分の両耳近くに投げ出されていた腕を男の首に廻し女の仕草で答える妻。

妻の体の容量というか性能を試運転で確かめた親分は一物を静かに外すと左腕で妻のフクラハギを押さえながら、自分の身体を彼女の横に移すとそのまま右手を尻の下に差し入れた。

それから左腕に体重を掛けながら右手で尻を持ち上げるように抱え込むと、そこには寸前まで親分を受け入れていた部分が怪しく息づいていた。

「奥さんの顔に似合わず、別の生き物みたいだ。」というと、鼻先をこすりつけた。

「いやぁー、やめてー」と叫んでも声がハナにかかっている分言い訳に過ぎないのだ。

「隣の部屋から旦那を連れてくるか?」と、親分のくぐもった声がします。

「だめよー、それだけはやめてー」と、喘ぎながら哀願する妻。

「おい、テツ」

「だめ、それだけは許して・・・」と、身体を捻って悶える妻。

そしてテツがくると「観音様のご開帳だ。

テツ、拝ませてもらいな・・・こんなに別嬪で色白の観音様は生き仏というもんだ。」と、親分は舌先でその部分に分け入りながら、呂律の回らない口調でいうと「お前も、奥さんからほんの少し功徳をもらえや。いいかほんの少しだぞ」

テツは横に座ると妻の乳房に右手を遣りその感触をアタマに叩き込もうとしているようだった。

左手はさっきいっていた二の腕の柔肌にまとわりついていた。

妻は私の前で醜態を晒すことを許されてほっとしたのだろう、親分の執拗な攻めに声で反応しながら、いつしか涙目でテツの愛撫にも応えていた。

遠くでパトカーのサイレンが聴こえくるとそれが段々遠ざかっていく。

テツの手は妻の乳房をさすっている。

前をはだけた浴衣から猛々しい一物が自己主張をしているよう。

親分の応接に手一杯なのであろう、頭をのけぞらせ声を洩らしながらシーツをつかんでいた。

テツはそんな彼女の右手を自分に導くとその一物を握らせます。

上目遣いでテツを見た親分は状況を察知すると顔を上げ、「テツ、奥さんおもったより淫乱だな・・・」というとさらに攻めます。

「いやぁー、やめてー」と叫びますが、体が媚びていることは誰の眼にも明らかです。

親分の何かをズルズルすするような響きと舌打ちするような音が交差するなか「ダメヨー・・・ゆるしてー」という切なそうな声歓喜の波動に合わせて一物を握り締められるのか、一瞬テツは両手を後ろに着きのけ反るようにして切なそうな顔を我々の方に向けます。

身体を妻の横に置き両脚を持ち上げ左腕でフクラハギを押さえ、右手を尻の下に差して尻を抱え込むようにして泣き所を愛撫している親分。

その左隣に座り妻の顔を観察しながらペニスを握らせ女体の柔らかい部分の感触に浸っているテツ。

まるでピアノの連弾を楽しんでいるようだ。

四つの手先が彼女の体をまさぐっている。

首筋を、乳房を、フクラハギを、そして股間を・・・遊んでいるのは妻の左手だけだ。

親分がペダルを踏めばピアノはそれに素直に反応する。

「柔らかいねー奥さん、どうしてこんなに柔らかいの」と、独り言のように呟くとテツは唇を重ねます。

驚いたそぶりはしますが主客の応対に集中していて相手に出来ない様子が見て取れた。

口を塞がれ鼻から洩れる吐息に親分は妻の置かれた状況を知ります。

「おいテツ、調子乗るな、どけ」と言うとゆっくり体を起こし、妻の顔をまたぐように覆いかぶさると、また下半身をむさぼり始めます。

テツは横に座ると妻の耳たぶの愛撫に余念がない。

親分のペニスが顎を打ち袋が鼻を塞ぐように鎮座している。

押し寄せる歓喜に呼吸が苦しいのだろうか顔を横に向けて親分の腰に両腕を回してしがみついていく。

それに反応して、両手を妻の臀部に差し込むと「上になって」と、促します。

「イヤ、恥ずかしいわぁ?」と、拒否の言葉が出ますが嬌声であることは明白です。

親分は取り合わず尻を抱えたまま自ら脇に倒れこむと約束事のように男と女の体制が入れ替わった。

妻は四つん這いになって秘所を下から覗かれているのが恥ずかしいのか「イヤ、恥ずかしいわぁ?許して」と言いながら首を振りますが、男はゆっくり両腕で尻を引き付けると舌で急所を愛撫している様子。

「アッ、アッ・・・」と眉間に縦皺を寄せ短い感嘆詞を口にしながらのけ反る妻。

そして眼を開けば起立した男のものが眼に入ります。

押し寄せるさざ波に心を奪われながらも自分が何をすべきかは分かっているのか、ゆくり右手をそれに添えると上下に数回愛撫してから口に咥えると右手を離して静止しています。

親分は一瞬動きを止め「奥さんの口、柔らかいね。

すべすべして気持ちがいい」というと敏感な箇所を舌で弄ります。

それに連れて妻の体は「ウグー、ウグー」と、こもった声を出しながら前後に揺れるが、テツは脇で乳房をつかみながら妻の横顔とその感触を楽しんでいるようだ。

感極まって「ダメヨー・・・ゆるしてー」と、口を大きく開けてのけ反ると、咥えていたペニスは開放されメトロノームのように前後揺れると静止した。

赤銅色した一物は朝露が降りたオスカー像のように怪しく脈打っている。

一息ついて気を取り直し目の前のものを含むと眼を閉じます。

このようなことを数度繰り返し、妻は自分の官能へ神経を集中すれば男への奉仕が疎かになるというジレンマと戦いながら励んでいたのだろう。

そんな様子を脇で見ていたテツは右手を妻の後頭部に置くと髪を掴み、上下にゆっくりリズムを付けます。

深く、浅く、深く、浅く・・・その度男の一物が妻の口腔へ侵入します。

深く、浅く、深く、浅く。

覗き込むようにテツは観察している。

亀頭のカリが唇にかかったところで引き上げるのを止る。

美しい横顔も頬がすぼまって口先がヒョットコのようだ。

そこから眼一杯押さえ込む。

苦しそうに眉間に皺を寄せる妻。

テツは手をとって男を喜ばす術を教えているようだ。

奉仕に集中していても官能の針が振り切れそうになるときがあるのだろう。

歓喜の声を出したくてもテツが頭を抑えそれを許さない。

妻の鼻から時おり荒いくぐもった音がする。

そんな二人の気配を感じた親分は妻が奉仕に専念できるように下からの愛撫を止めると両手を投げ出しお任せのようのようです。

テツは緩・急を交え妻のアタマを上下させる。

「気持ちいいや、奥さん」と勘どころで褒める親分。

気を良くしたテツは妻の右手を親分のタマ袋に導きます。

どうして良いのかと惑っている妻。

でもそんな戸惑う手が、かもし出すうぶな感触がいいのだろうか「奥さん、極楽だあ?もう堪らん」と呟きその声に応えるようにテツが妻にいいます。

「そこで、精一杯締めて、舌先でアタマを刺激するんだ」

妻は手を一物に添え安定させると言われたことに専念しているようだ。

しばし静寂が部屋を支配する。

妻の頭も体も静止している。

テツも乳房への愛撫を止めている。

時間が止まっているようだ。

我々は屈み込むようにして耳目をそばだてている。

今までは耳元でささやくように会話をしていたが、針を落としてもその音が聞こえるのではないかというような雰囲気である。

お嬢さん育ちの妻は男に奉仕されることはあっても、奉仕する立場にたったことはなかったはずだ。

私との生活でも妻はピアノ、私は奏者に徹してきた。

奏者が上手ければ、ピアノは歌えばいい。

幸いなことに彼女は感度のいいピアノだった。

経験不足の私に対しても十分反応してくれた。

そして勘所でペダルを踏み込めば我を忘れて絶唱した。

その絶唱がアダとなって妻は理不尽な難儀に遭っている。

そして今主客転倒して自分が奏者の立場に立たされているのだ。

頭が混乱しているのだろう。

相手がピアノならばキイを叩けばとにかく音は出る。

だが黒いクラリネットをどうくわえて吹けば音が出るか分からないのだろう。

チンドン屋が頬を膨らませクラリネットを吹いている姿を想像しているかの知れません。

「吸い込むように・・・もっと口をすぼめて」

「手もただ握っているだけじゃだめ、アクセントを付けて」と、小声で指導するテツ。

「旦那、教育が行き届いていませな」と刺青男が囁くが、私は妻の乳房の美しさに目を奪われていて返事をしなかった。